ナイスバランス

卒研、リスザルさんで調教や行動、

ストレスなどについての研究をした方がいました。

リスザルさんのような頭のいい動物は、

ほっとけばほっとくほどストレスがたまり、

同じところを何度も行き来する「常同行動」や脱毛がみられます。

人にも懐かず攻撃態勢です。


彼女はそんなリスザルさんに調教を入れ、ストレス軽減を図りました。

正しく調教し、考えて芸をしてと頭を使うことによってリスザルさん自身が

調教を楽しみ、調教士を信頼し、ストレス軽減つながるのです。


実際、脱毛気味だったリスザルさんの尻尾は、だんだん毛が生えたりなんかしちゃったり。

調教士さんの方へ進んで寄ってくるようにもなり。



しかし悲しいかな、そのリスザルさんは、急死してしまいました。

突然、様子が変わって、そのまま逝ってしまいました。

丁度校内に獣医やってらっしゃる講師の先生がいたので診てもらっても、

ハッキリした原因はわからず。けどおそらく肺の圧迫がどうのこうの(この辺よく知らないです)


彼女は自責の念にかられました。落ち込みました。

自分が様子の変化に気付かなかったからだと言いました。


けどリスザルさんは彼女が担当についてから、どんどん幸せになっていってるハズです。

楽しそうに彼女になつくリスザルさん、今もよく覚えています。



その後彼女は自分が研究したことを発表しました。

その内容はとても堂々としていて、とてもわかりやすかった。

『自分が研究した』というのがしっかり伝わっていました。

その発表は見事予選を通過し、本選へ。



本選の発表後、質疑応答で彼女の指導をしている講師がこんな質問をしました。


「本題とそれてて悪いんですが…酷な質問しますけど、

もし、また『担当して』とリスザルを渡されたら、

あなたはまたリスザルの担当をしますか?」


彼女は、迷わず「はい」と言いました。笑顔で涙目で。

その返事には彼女の考え、意志がビックリするぐらい感じ取れました。

先生も「ありがとうございます」ってさ。



こんな強い人たちがいるってことが、

私が「あぁ、これだから動物業界大好きなんだよなぁ」と思う理由の一つです。


ついでに、その後空気読まずに調教についての質問をバンバンしてた

勉強熱心な一年生も好きですよ。