中国の不思議な役人

※今回はバルトーク作曲の
中国の不思議な役人』についての文章です。
バレエやパントマイムのための音楽で、ちゃんとしたストーリーがあります。
もちろんストーリーを明かす気です。

作曲された当時は“あまりにも不健全”という理由でバルトークの生存中、
彼の祖国、ハンガリーでは上演されることはなかったそうです。

不健全と言われるだけあって、その内容は『やらしい、グロイ、ホラー』と、

3拍子揃ってます。


純粋に音楽として楽しみたい方、↑の三拍子がイヤな方は今回は下のマユ猫画像でお楽しみくださいニャー。







さあよくいらっしゃました。

つーワケでご存知な方も多そうですが、不思議音楽作曲家バルトークさんの代表作です。



怖いです。それはもう。

ストーリー知らんまま聴いてるとようわからん音がガチでぶつかり合う、河川敷のケンカのような音楽ですが、ストーリーを知るとあら不思議!



ガチで怖い。


がたがたぬかすのも何なので、ストーリーをどうぞ。

バレエの場合、登場人物は3人の無頼男、少女、年老いた放蕩者、内気な青年、中国の役人。


ストラヴィンスキー:火の鳥コチラの作品紹介を元に要訳。

1.

1人目の無頼男がポケットの中からお金を探し出そうとするが、お金はない。
2人目の無頼男も机のひきだしをかきまわすが、お金は見つからない。
3人目の無頼男がベッドから起き上がって少女のところへ行き、
窓辺に立って街を行く男たちから金を奪うために誘惑することを強要する。
少女は断るが、3人の無頼男達が命令を繰り返すので仕方なしに窓辺に行く。


2.最初の誘惑ゲーム。

少女のモチーフがクラリネットで奏される。
彼女が一人の男を発見、男は既に階段の上にいる。
無頼男達隠れる。うらぶれた老放蕩者が入ってきておかしな愛の素振りを示す。

少女:『お金はあるの?』

男:『お金なんかいらない。愛が問題なんだ』


男はだんだんしつこくなる。やがて3人の無頼男が出てきて彼を捕まえつまみ出す。
そして少女を怒鳴りつけ、再び窓辺へ行くことを強いる。


3.第2の誘惑ゲーム。

少女が別の男を発見。無頼男隠れる。

内気そうな青年が戸惑いながら部屋に入ってくる。
少女は青年を引き入れ、ポケットに触れるがお金はない。
それでも彼を自分のほうに引っ張ってきて踊る。

内気に踊っているがだんだん情熱的になる。
しかし無頼男たちが出てきて青年をつまみ出す。
無頼男達が少女に『何がカモかよく考えろ!』とわめく。



4.第3の誘惑ゲーム。

やがて彼らは怪しい男を発見。男はすぐに階段を昇ってくる。
無頼男隠れる。

中国の役人が登場、扉のところで動かずに立つ。
少女は恐れて部屋の隅に逃げるが、無頼男が物陰から少女に役人を誘惑するよう指示する。

少女は嫌悪感を克服して役人に呼びかける。


少女:『もっとこっちに来ませんか。何故そんな所に立って見ているんですか』

役人が階段を2段昇る。

少女:『もっとこっちへ、椅子をどうぞ』


役人座る。

しかし少女はためらい、身震いして再び逃げ出す。


5.が、少女はついに嫌悪感に打ち克って、ためらいながら踊りだす。

はじめは緩やかなワルツだが、徐々に活発になり、野生的なエロティックなダンスになる。
その間、役人は少女を見つめ続ける。

かなり長い経過の後、少女は彼を抱きしめ、彼は熱っぽい興奮におののく。


6.しかし少女は役人の腕の中で身震いし、彼から逃げる。

役人と少女の追いかけっこが始まる。

役人はころぶが、電光の如き素早さで起き上がり、前よりさらに情熱的に追い回す。


7.無頼男が飛び出し、役人を捕らえ、宝石と金を奪う。

そして無頼男たちの相談。

『こやつをどうしてくれようか、枕で窒息させてくれよう』

役人をベッドに引っ張り上げ、枕や毛布などを積み上げ、
無頼男の一人がその上に腰掛ける。

しばらくして、『これでくたばったろう』と、積んだものをどけてみると、
役人が突然枕の間から顔を出し、じっと少女を見つめる。

4人は身震いし、呆然となる。


3人の無頼男は、恐怖をおさえ、役人を押さえつけ、再び殺害の相談。
やがて一人が古びた剣を持ってきて役人を三度刺す。
役人を放すと、彼はよろめきながら立ち上がり、突然少女に飛びつく。
3人はまたしても役人を捕らえるが、彼は少女をじっと見つめる。

三度殺害の相談。


『吊るしてしまえ』


8.役人は部屋の真ん中に引き出され、ランプの鉤に吊るされる。

ランプが落ちて暗くなると、役人の体が緑青色に光り始める。
役人の眼は少女の方を向いたまま。
4人は恐れながら役人を見つめる。

ついに少女が役人を下ろすように頼む。
役人を下ろすと、役人は少女にとびつく。
少女はもはや抵抗しない。2人は抱擁する。

役人の欲望は解放され、傷口から出血して静かに死ぬ。

なんちゅーハナシや。



曲を聴くとより怖い。役人が刺されるときの金管の音とかさーこわいよー。

役人をただのスケベジジイと捕らえるかどうかはさあアナタ次第!

バルトーク、さっすが。


しかし、私が一番不思議でならないのは、
コレが吹奏楽コンクールの人気自由曲の一つってこと。

中学生がコレを演奏できるってトコですよ。


みんな、ストーリー承知でやってんのかしら?
私が自由曲でこうもり序曲をやったときは、ストーリー把握のために
みんなでオペラの喜歌劇『こうもり』をみたけども(おかしな浮気物語だった)

中国の不思議な役人、中学生が理解できてるってすごいよね。

いやぁ、長々とすんません。